古代より「山々」は聖域として仰ぎ見られ、近代になると憩いの空間ともなりました。
この展覧会では、山岳風景画の幅広い世界をご覧いただきます。屋外写生を通じて新しい風景表現を開拓した明治の洋画家たちにとって、山々は大切な画題でした。近代風景版画の世界でも山々は頻繁に描かれます。もちろん、風景画の普及に大きな役割を果たした水彩画も見のがせません。山そのものばかりでなく登山者の姿や高山植物群も、山岳風景画を語るうえで重要な存在です。そのほか、我国最初の登山家であり文筆家でもあった小島烏水らの業績を紹介いたします。先人の作品を通じ、自然を愛し育む心をくみとっていただければ幸いです。
出品作品:吉田 博《劔山》
織田一磨「日本名山画譜」の内《筑波山春雨》
畦地梅太郎『山』(2600年版より)《金峯山》 など