バルビゾンはパリの南西約60キロ、広大なフォンテーヌブローの森のはずれにたたずむ小さな村です。森や平原など豊かな自然環境に囲まれたこの田園の村は、19世紀の中ごろ、風景画家たちの関心を集めました。コロー、ミレー、ルソーらバルビゾン派と総称される一群の画家たちは、バルビゾン周辺の風景に魅せられ、緑あふれる森の光景やそこで暮らす農民たちの素朴な姿を描きとどめたのです。眼前に広がるありのままの自然と向きあいその姿を真摯な姿勢で描き出した彼らの作品は、フランス風景画の歴史に新たな1ページを加え印象派の先駆ともなりました。
帯広美術館は全国でも有数の農牧地帯・十勝平野の真中に位置します。その関連から、バルビゾン派をはじめ田園風景や農村風俗を描いた西洋の油彩画や版画の収集を進めています。開館10周年を記念するこの展覧会では、それらコレクションに加え、国内各地に所蔵されている絵画や同時代のフランスの田園地帯を捉えた写真作品を紹介します。油彩画や版画、写真など113点によって、19世紀フランスにおける自然と芸術家たちの関わりの一端を振り返ります。