再興110年を迎えた『新小説』(明治29年~大正15年)は、清方の表紙絵や口絵、小説の挿絵とともに、烏合会(うごうかい)の記事や出品作品が多く掲載されていました。清方は、様々な雑誌に口絵や挿絵を描き、「挿絵画家」として世に認められていましたが、親しい友人たちの集まりである烏合会という美術団体に参加し、日本画を試みるようになりました。また、明治30年代半ばから大正初期は、自由制作である肉筆画に惹かれ、日本画家としても活動を開始し、やがて独り立ちしてゆく時期と重なっています。
今回は、泉鏡花著「胡蝶之曲」(明治38年)、「瑞花(百花百姿)」(明治40年)などの『新小説』口絵をはじめ、「教誨」(きょうかい、明治38年)など烏合会出品作品や、この時期に描かれた『嫁ぐ人』(明治40年)、今回初公開となる『しだれ桜』(大正3年頃)ほか全56作品56点をご覧いただきます。