フランスのパリにあるフランス国立ギメ東洋美術館は、1889年に実業家エミール・ギメ氏(1836-1918)によって設立されました。 1928年には国立美術館として編入され、1945年以降、ルーヴル美術館の東洋部の役割を果たし、世界でも指折りの質を誇る東洋美術コレクションを有しています。
これまでギメ東洋美術館の浮世絵コレクションは、まとまって公開されたことがなく、その中には貴重な作品が多数含まれています。中でも近年ギメ東洋美術館に寄贈された葛飾北斎の「龍図」が、太田記念美術館所蔵の「虎図」と対幅であることがわかり、美術史上でもまれに見る大発見となりました。これは2005年7月から8月にギメ美術館にて開催された「太田記念美術館所蔵大浮世絵名品展」をきっかけとした両館の作品調査の過程において確認されたものです。これまで「龍図」の存在は全く知られておらず、本展覧会にて世界で始めて双幅で展示されます。北斎没年に制作されたこの双幅は、単に傑作というばかりでなく北斎の最終的な芸術境地を示す重要な作品と言えるでしょう。
本展では、ギメ東洋美術館の浮世絵コレクションの中から選りすぐりの名品190点を紹介し、日本から海を渡ってフランスまで伝えられた浮世絵が、再び日本に戻る里帰り展となります。