平成19年1月2日、日本美術院で活躍を続けた日本画家横山津恵さんがひたむきに走り続けた90年の生涯を終えました。
横山津恵さんの画家としての旅立ちは昭和21年、日本画家高橋萬年との出会いに始まります。戦後の混乱期に師のもとで学んだ時間は決して十分なものではありませんでしたが、写生の徹底を貫き、生涯一塾生であろうとした萬年の教えは横山さんの中にもゆるぎなく受け継がれています。
以来、横山さんは写実的な画風に始まり、装飾的構成の実験、内に潜む重く強い実在をつかむ模索の時代を経て、幻想的で華麗な色彩にあふれた作風へと歩みを進めていきます。その果敢な挑戦から数多くの佳作が生み出されたことは、皆様もよく御承知のとおりです。
本展では生前横山津恵さんからご寄贈いただいた作品の中から27点を展示します。追悼の想いをこめた小さな展示ですが、横山さんの画業にあらためてふれていただければ幸いです。