特に何か形態をイメージしたものではなく、実際の形を見ることなく主に感触をたよりにして、鋳型つまりネガティブな空間を手捻りで成形するなかで、できるだけ自然に自分の内から出てくる何ものかのかたちを、そのままとどめることにつとめた作品を展開。
制作の過程は一般的な陶磁のそれとは異なり、土で型を捻り石炭灰などの素材を中に満たし焼成する。それは石炭灰の中に含まれる多様な不純物の効果で発泡し、型の中は大小様々な気泡により構成された物体と成る。そして焼成により初めて実体として生成したかたちを、そこではじめて出会った未知の化石を発掘するように、その形態と対話しながら最終的に表情を削り出していく。
静謐な中に圧倒的な存在感が充満している。