遼(916~1125)は内蒙古の遊牧民族であった契丹族が、元(1271~1368)はモンゴル帝国が中国に建てた国です。伝統的な漢民族の文化を継承しつつ、それぞれの文化を移入した点に両国の染織の特色が見られます。これまで不明な点の多かった遼代の錦は、近年の発掘品調査によって、遼代に開発された組織であることが明らかとなりました。元代には、西アジアの技術を導入し金糸を織り込む技術が発展し、良質な金襴が生産されるようになりました。動植物文様を織り出したカラフルな?絲(こくし-にほんでいう綴織[つづれおり])も盛んに製作されました。遼代の錦、元代の金襴・?絲を中心に、漢民族と異民族の文化が融合して生まれた二国の染織の特色をご覧いただきます。