伊藤彦造は、大正末、若干21歳にして日本の挿絵界にデビューし、その際立った才能で人々を驚かせ、熱狂させました。
意表をつく構図の取りかた、魔的な魅力をたたえた美貌の男女、臨場感あふれる殺陣シーンなどの点で、彦造は他の挿絵画家が描きえない境地に達したのでした。
平成16年に100年の生涯を閉じた彦造の、三回忌にあたる本年夏、彼の作品と生涯を概観する展覧会を開催します。
彦造は大変に個性的な人物でした。少年時代、真剣を持たせられて剣の修行をしたこと、青年時代、自らの血で絵を描いたことなど、数々の驚くべきエピソードを残した人です。
特異な才能は特異な人物に宿るのでしょうか?
本展では、天才彦造の人物像に迫り、知られざる素顔をご紹介します。