萩焼の重要無形文化財保持者(人間国宝)で、96歳の今なお現役の陶芸家として活躍している三輪壽雪氏(十一代休雪)。本展では、壽雪氏の80年に及ぶ作陶生活の集大成として、茶碗や花入、置物、水指など約190点を一堂に会し、①修行と「休」の時代②十一代「休雪」襲名③大器「鬼萩」の創生④「壽雪」造形の清雅の4つの時代に分けてご紹介します。大きな転機となった4つの時代ごとに作風や陶技を見比べることができ、萩焼の造形美に触れる絶好の機会となっています。
壽雪氏は、1910年に山口県萩市に生まれ、中学卒業後、兄・十代休雪(1895-1981)に師事し、萩焼を代表する窯のひとつ「三輪窯」の家業に励みます。1967年に、十一代休雪を襲名し、1983年に重要無形文化財保持者(人間国宝)となりました。その後、自ら「壽雪」に改名し、96歳となった今も現役の陶芸家として活躍しています。
作風は、萩の伝統的な素材や技法を忠実に守り、兄・十代休雪が探求し、萩焼に心境地をもたらした「休雪白」・純白の藁灰釉を引き継ぎ、自身の作陶に展開させて確立しました。
その作風を著者に表現しているのが壽雪氏の代表作である《鬼萩割高台茶碗》です。個性的な造型感覚に裏打ちされた作品の最新作は、山口県萩市の工房において、先日の2006年4月27日に窯詰め、29日に火入れ、5月6日に窯出しされ、今回の展覧会にも出品されます。成形や高台づくり、釉薬のいずれにおいても、今までの萩焼にはない壽雪氏独特の世界を表現した作品となっています。
現役で活躍されている方の大規模な回顧展を当工芸館で開催するのは、非常に稀なことで、また、壽雪氏においても回顧展は初めての開催となります。
ぜひこの機会に“人間国宝三輪壽雪の世界”をご堪能ください。