朝日陶芸展は、一九六三年(昭和三八)に第1回展が始まって以来、新人陶芸家の登竜門としての役割を果たしてきたほか、陶芸界の「いま」を映し出す公募展として毎回各方面から注目を集めています。歴代受賞者の中には、加藤清之氏、栗木達介氏ら現代陶芸の世界で活躍中の作家の名前も見られます。本展には全国各地から多数の応募がありますが、昨年度の第43回展では、初の外国人グランプリ受賞者として韓国人の崔永熙(チェ・ヨンヒ)さんが選ばれました。
ところで、この展覧会ではよくお客様から「これもやきものですか?信じられない!」という声が聞かれます。まるで金属のようであったり、薄い紙のようであったり、木材のように見えたり・・・。観客をあっと言わせるように工夫が凝らされているその不思議な表情や、ダイナミックさは、私たちのイメージする「やきもの」とはかけ離れていることも多いのです。しかし、中には伝統的な技法をベースに新しい息吹を感じさせる大皿や壺も入選しており、斬新な発想と確実な技量の両方が求められていることを示しています。そう、この展覧会は、現代の陶芸界の層の厚さ、表現の多様さをリアルに教えてくれる展覧会でもあるのです。