衣服や服飾品には綿や麻など植物素材から作られているものの他に、絹や羊毛、皮革や牙、羽根、貝といった動物素材を用いているものもあります。動物素材は優れた特性や風合いを持ち、それらに利用価値を見出した人間が工夫をこらして身の回りのさまざまなものを作り出しました。また人工的に作り出すことのできない独特の質感や色合いは人間にとって畏怖や憧れの対象であり、権威や勇敢さを誇示するものとして象徴的に用いられました。
展示ではこれら動物素材の服飾に焦点をあて、さまざまな素材をどのように活用してきたかをヨーロッパ、アジア、日本をはじめ、各地域の資料から紹介します。
また、乱獲や動物愛護の影響によって広まった安価で入手しやすい代替素材や、化学的に作り出したフェイク・ファーや人工皮革などの模造素材についても触れていきます。