佐藤敬は、東京美術学校在学中から2度にわたって帝展に入選を果たし、1930年(24歳)渡仏後はサロン・ドートンヌで活躍、在仏中出品した帝展でも特選を得るなど、若くして時代の寵児となりました。
しかし、1934年帰国した敬は国家の体制に運営を左右される当時の官展(帝展)のあり方にあき足らず、1936年、新制作派協会の設立に積極的に参加して在野での活動を始め、戦時中写実を強く意識した制作を行った後、戦後は1930年代後半にも取り組んだキュビスムに再び立ち返り、新たな創作の展開を求めて再び渡仏、ピカソとの出会いを機に以後国際的画家としての活動を続けました。
本展では、これまで紹介されることのなかった新制作派協会設立前後の作品を中心に、戦中戦後の日本洋画壇に大きな刺激を送りつづけた郷土出身の洋画家佐藤敬の特筆すべき業績を紹介します。