神奈川県立近代美術館には、日本の近代彫刻を中心に500点を越す彫刻作品が収蔵されています。
明治時代に紹介された西洋の塑像技術は、写実的技巧を重視するアカデミズムを成形する一方で、大正期になると近代的な自我にめざめ、個性や生命感といった内面的な表現を追及した高村光太郎や中原悌二郎などの芸術を生み出しました。
第二次大戦を経て1950年代になると、彫刻の表現は素材、形態ともに多様な展開を見せます。さらに1960年代の高度成長期には、野外彫刻運動など、彫刻をめぐる場所のありかたも多様化しました。当館は、これまでもこうした近代から現代にかけての彫刻作家を積極的に取り上げ、紹介してきました。
本展は、戸張孤雁ら大正期の作品から、柳原義達、木内克などの戦後の作品、そして現代作家の仕事まで、彫刻というジャンルの多様な展開を、近代から現代への変容という視点から当館の収蔵作品で追う展覧会です。