1950年代イギリスで誕生し、アメリカをはじめヨーロッパ各国で花開いたポップ・アート。それは美術の領域に大衆文化の産物を持ち込み、既存の芸術概念を覆した衝撃的な美術表現でした。それまで主流であった抽象的な傾向を退けて、雑誌、広告、漫画のイメージや日用品など大量に生産・消費されている身の回りのものが作品の題材になったのです。挑戦的で活力に満ちたこの潮流は多くの人の支持を得て60年代以降世界を席巻し、現在に至るまで影響を与え続けています。
本展は、ポップ・アートを20世紀芸術の最も重要な要素のひとつととらえ、その全貌を探る意欲的な試みです。80点の出品作品はポルトガルの実業家ジョゼ・マヌエル・ベラルド氏が所有するベラルド・コレクションから厳選されたもので、ほとんどが日本初公開となります。アンディ・ウォーホル、ロイ・リクテンスタインら代表的なアメリカのポップ・アーティストの作品はもちろん、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、ポルトガルなどヨーロッパのアーティストの作品を含む今回の展示は、ポップ・アートの多彩な広がりを感じさせるものとなるでしょう。